◇雨水、根を信じる◇
今は、二十四節気の〝雨水(うすい)〟
最近の気象は、少し異常ですが、本来は雪が雨に変わり、春へ向かう準備が静かに進む頃です。
目には見えなくても、土の中では芽がゆるみ始めている。
昔の人は、そんな“見えない変化”に名前をつけて、季節の移ろいを感じてきました。
子どもの発達も、きっと同じ。
今すぐ形にならなくても、ちゃんと、内側で進んでいる。
それでも、就学前のこの時期、
親の心も、どこかそわそわします。
大きなランドセルを、まだ少し体に不釣り合いなまま背負って、嬉しそうに歩いてみる我が子。
その姿を微笑ましく、また誇らしく思いながら、胸の奥が、きゅっとする。
幼稚園で交通安全指導教室があり、道路を安全に歩くことについて教わる機会がありました。
「右見て、左見て」
子どもは楽しそうに声を出しているけれど、親のほうは、いよいよ始まる現実を思って、少しだけ背筋が伸びます。
・ちゃんと座っていられるかな。
・お友達とうまくやれるかな。
・忘れ物はしないかな。
『ちゃんとやれるかな』という心配の奥には、『守ってあげられない時間が増える』という、親の小さな寂しさも混ざっているのかもしれません。
そしてきっと、
子どもは、そんな親の緊張や不安も、どこかで感じ取っている。
だからこそ、
心の奥底では、必要以上に心配を重ねるより、『あなたなら大丈夫!』と、信じるまなざしを向けていたいと思うのです。
子どもは、完璧だから歩き出すのではなく、信じてもらえたぶんだけ、一歩を踏み出せるのかもしれません。
雨水の頃、
土の下で根が伸びるように、
見えないところで育っている力を、
私たちも信じていたい。
まだ寒いけれど、
〝見えない変化〟を重ねながら
春は、もうすぐそこまで来ています。